

「Meet up Furniture Asahikawa」は、世界に誇る木製家具産地としての総合インフラをフル活用した「ものづくりの現場」を舞台に、家具やインテリアをキーワードに集う多くの方々と木製家具の未来を共創することを目的とした、新時代の産地展です。
白樺プロジェクトが初めて皆さんの前に「形」として表現させていただいたのが、「旭川家具産地展」として開催された3年前のこの展示会でした。コロナ禍の中、リアル開催は2年見送られ、3年ぶりの開催となりました。
今回のプロジェクトのテーマは、「ずーっと、使う。ずーっと、育てる。」シラカバを使い続けること。天然更新を促し、育て続けること。感染症がなかなか収まらない中でも、おかげさまで白樺への関心は高まり、それぞれのメンバーが地道に着実に前進した2年間でもありました。メンバーの2年間の成果を見ていただきながら、新たな協力者のご紹介や、少しだけ広くなったブース内に白樺の並木を作ったり。木立の横で休憩していただけるスペースも設けました。23日(水)11:00〜/13:30〜/26日(日)11:00〜はサインスカフェも開かれました。
白樺に包まれて、北海道の初夏の森を感じていただけるような空間に仕上がっています。ぜひ足をお運びください。


白樺プロジェクトとして初めての展示会出展です。
旭川家具協同組合が毎年6月に各メーカーの「新作展」として開催される展示会です。白樺プロジェクトのメンバーである「木と暮らしの工房」「樹凛工房」が白樺材の家具を発表しまた。「森から始まる」をメインテーマに、北海道大学雨龍研究林から提供を受けた、「白樺の抜根」を中心に、その横に佇む、「木こり」の道具、「白樺の小枝」でそれらを囲み、白樺の幹から作られた家具をはじめ、樹液の「飲料水」、樹液から作られた「白樺化粧水」、樹皮から作られた手編みの「カゴ」、白樺の表情を生かした「クラフト作品」、白樺の灰を釉薬として焼かれた「陶芸」、白樺内樹皮を使った草木染めの「羊毛フェルト作品」。旭川大学横田ゼミの研究発表、さらに、ブース内の床やカウンターには住宅の建材としての白樺の床材や羽目板などを使い、「白樺の恵み」が幹のみならず、「木、丸ごとが〝恵み〟である」こと。先人に習い、それらを無駄なく使わせていただくこと。荒地にパイオニアツリーとして自ら芽吹き育つ「白樺」を、様々な分野での利用してゆくことで、健全で豊かな森の持続可能な保全。白樺を資源として再評価することで、産業として文化として地域の生活に根付くこと。それらの可能性を表現しました。(展示品詳細は-HP内の《白樺の恵み》)
サイエンスカフェは、科学の専門家と一般の人々が、テーマに沿って少人数で気軽に語りあう場を作ろうという試みです。
白樺プロジェクトでは、身近だけど実はよく知られていない北海道の森林の現状と、今後どのように森林と向き合っていったらよいかを、一緒に考える場を持ちたいと思います。


①概要および目的
7月2日に北海道大学雨龍研究林(幌加内町)で森林ツアーと、7月3日に村山木材株式会社の役員所有山林(枝幸町)で樹皮採集ワークショップを行いました。森林ツアーは2年目、樹皮採集ワークショップは4年目で、村山山林では3年目となります。
一般社団法人白樺プロジェクトは、「シラカバを北海道の持続可能な地域資源ととらえ、産業として、文化として地域に根ざす」ことを目的に活動をしております。
ワークショップやサイエンスカフェなどを通して、森林や林業や地域の課題、特に広葉樹の保全と利用の問題を参加者と一緒に考えるプログラム作りを目指しております。
雨龍研究林では、
白樺プロジェクトの活動の柱の一つである「シラカバを人の手で育てる」の理解を深めるため、2016年に掻き起こし表土戻しを行ったシラカバ天然更新実験林、2018年に樹幹下掻き起こしを行ったミズナラ天然更新実験林、そして、47年前に掻き起こし後無施業だった小径木カンバ林の間伐作業現場の視察を行いました。
陽樹であるシラカバと、陰樹であるミズナラの天然更新実験林では、対比することにより天然更新に対する理解が深まったと思います。
今回視察したシラカバの天然更新実験林は6年生で、成長量や密度管理や下層植生への影響など様々な観点から研究が行われていることの説明がありました。間伐作業現場では、掻き起こしした後、除伐や間伐などがないと細い木ばかりになることが分かりました。高林齢でも間伐すると影響があるのかなど今後の研究の成果が待たれます。また、フェラーバンチャ、プロセッサ、フォワーダなど林業機械を実際に動かして、作業の効率化への取り組みも紹介してもらいました。
村山山林では、
プロジェクトのもう一つの柱である「シラカバを高付加価値で使い続ける」を体感してもらうため、この時期にしかできないシラカバ樹皮採集を行いました。
施業が行いづらい湿地帯であるため、将来的に高性能林業機械による伐採を行う予定がないシラカバ林を利用させてもらい、学生に森林の将来を想像してもらいながら選木してもらい、樹皮を剥がすことができるかどうか確認してもらったあと、全部で9本のシラカバ立木を伐採しました。
樹皮を剥がすだけではなく、染料用に内樹皮を採集したり、鉛筆づくりのための丸太を確保したり、利用できそうな丸太や枝を持ち帰り、特に学生には今後の活動に役立ててほしいと思います。また、林内に伐採した木を放置しないように、なるべく薪として持ち帰りしました。
また、2日目の夜は、名寄サンピラーパーク内の森の休憩村と、北海道大学名寄研究棟に分泊しました。森の休憩村のセンターハウスに集まり、参加者による各団体の発表会を行い、その後は各宿泊施設で交流を深めました。
②主催:一般社団法人白樺プロジェクト(旭川市)/共催:北海道大学雨龍研究林(幌加内町)、北大森林研究会(札幌市)/協力:村山木材株式会社(枝幸町)、三井物産フォレスト(株)北海道事業本部(札幌市)
③参加者および開催地
7月2日 森林ツアー 34名 北海道大学雨龍研究林(幌加内町)
森の休暇村での発表会 29名
7月3日 樹皮採集ワークショップ 37名 村山山林(枝幸町)
(2日間総参加者41名)
(参加者内訳) 北大森林研究会15名、北海道大学大学院学生1名、早稲田大学人間科学科学生2名、北の森づくり専門学院2名、三井物産フォレスト(株)1名、村山木材株式会社1名、林産試験場2名、林業試験場2名、宗谷総合振興局森林室2名、株式会社ムーンバランス(京都市)2名、シロロデザイン(旭川市)1名、北海道大学雨龍研究林4名、パパスデザイン(旭川市)1名、木と暮らしの工房2名、粗清草堂(美深町)3名
④日程および内容
7月2日(土曜日)曇り
12:45 北海道大学雨龍研究林研究棟(幌加内町字母子里)集合
13:00 バスに乗車して研究林視察
16:30 森林ツアー終了
18:00 宿泊先の名寄市サンピラーパーク森の休暇村に集合、夕食途中、日向温泉入浴、翌日の朝食等の買い物
18:30 参加各団体の紹介および発表会
・北大森林研究会
・三井物産フォレスト(株)
・林産試験場
・林業試験場
・北の森づくり専門学院
・白樺プロジェクト
20:30 交流会(名寄研究棟での宿泊者は移動)
7月3日(日曜日)曇りのち晴れ
8:00 北大森林研究会の学生は先行して枝幸到着、村山山林を見学
9:00 枝幸町内国道238号線沿いの公共駐車場に集合
9:30 車13台で移動、村山山林に集合、注意事項等の説明、村山山林の紹介後、シラカバ立木を伐倒して樹皮採集
昼食
14:30 作業終了、樹皮、丸太、枝など積み込み、後片付け
15:30 朝集合した枝幸町内国道238号線沿いの公共駐車場に戻り、解散
7月4日(月曜日)
採集した樹皮の整理および保管作業。丸太の一部は鉛筆製作用に製材作業
※採集した樹皮は、一部参加者が持ち帰り、残りの大半はプロジェクト内で高付加化価値利用の推進や、シラカバ樹皮のかご製作ワークショップ等などに用いられる予定です。
⑤森林ツアー、樹皮採集ワークショップを終えて
2日間を通して天候に恵まれ、怪我や事故がなく無事にワークショップを終えることができました。
昨年に引き続き、北大森林研究会の学生がたくさん参加して頂き、活気のあるワークショップとなりました。他にも新しい参加者も増えました。
森林ツアーは研究林が広大な敷地ということも有り、バスでの移動時間が多くなりますが、このようにバスでまとまった人数が移動できて多様な実験林を見ることができるのは研究林ならではだと思います。森林に関わる参加者が多いので、森に詳しくない人からは少し難しかったという声も聞きました。参加者によっては、専門用語は解説を交えるなど工夫が必要かもしれません。全体的には参加者の満足度は高かったと思います。
樹皮採集は、参加者が自ら考えて選木し、伐倒した木をなるべく余すことがないよう、利用できる部分は使おうとする気持ちを感じました。作業に夢中になる様子を見て、とても楽しい体験となっているのだと感じました。伐倒時には、作業者の指示に従い安全確保をしっかりし、樹皮採集時にはナイフなどを使う作業ですが、刃物の使い方に注意し、周囲への安全も配慮してできたと思います。樹皮以外にも内樹皮や丸太や枝など学生を中心に持ち帰り、また粗清草堂さんの協力で薪としてもある程度持ち帰り、片付けもしっかりして作業を終えました。伐倒した材の利用を考えるきっかけになってもらえればと思います。
今回初めて行った、宿泊施設での各団体の夜の発表会は、とても興味深い試みとなりました。質問も多く盛り上がりました。
また、夜の食事は名寄で人気のスープカレー店「KING BEAR」のお弁当を、樹皮採集の昼食は村山さんに枝幸町内の業者に用意してもらいました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。

《開催概要(参加者募集時)》
名称:白樺樹皮のかご製作ワークショップ
日時:2020年9月6日(日) 9時30分~12時30分
場所:木と暮らしの工房(上川郡東川町西11号北29)
参加者:6名を募集
参加費:3,300円と3,850円(何れも税込み)から選択
申込先:森山未花さん(かご編み作家)
主催:一般社団法人白樺プロジェクト
協力:講師に森山未花さん(かご編み作家)
《目的》
参加型ワークショップは、一般社団法人白樺プロジェクトの運営理念を社会に伝える有効な手立てと考えます。
本ワークショップの趣旨として、
①採集した樹皮を少しでも無駄なく使えるよう、欠点のある樹皮もなるべく使うこと。
②ワークショップ向けに2時間程度で作れて、森の恵みである樹皮を気軽に生活の道具にできること。
主にこの2点を踏まえ、一般消費者と白樺の素材を用いてものづくりの時間を共有します。
ワークショップ終了後に受講していただくセミナー(白樺セミナー)の中では、森林や白樺の話題を提供し、樹皮利用の背景やプロジェクトの活動について一緒に考えてもらう機会を作り、本プロジェクト理念への共感を促進します。
《開催当日(実績)》
8:00~9;20
会場準備
9:30~12:20
鳥羽山代表理事と森山未花さんよる挨拶、スタッフの紹介。
その後ワークショップにて参加者皆様によるかごの製作。
12:30~13:00
セミナーのための会場設営後、セミナー開始。
鳥羽山代表理事による講義と、杉達副理事による写真によるものづくり一連の説明。
参加者皆様との質疑応答。
13:00~13:30
集合写真撮影、参加者皆様との情報交換、樹皮の販売など。
13:30
参加者皆様解散。
13;30~14:00
スタッフによる会場の片付け。
簡単な総括と次回開催についての打ち合わせ。
次回は10月11日(日)開催を予定。
14:00
スタッフ解散。
《所見・改善点》
今回の参加者募集は、フェイスブックの白樺プロジェクト-ホーム内でのみ告知し、告知当日に定員に達しました。
当日のかご製作終了時間がタイムスケジュールより30分超過しました。
これに関しては、樹皮の切り方(カットの手順)を改善することで時間内に収めることができそうです。
白樺セミナーは好評をいただけたと感じます。
セミナー後の質疑応答の中で、専門的な回答や意見を聞く機会を持てることは本ワークショップの魅力の一つになり得ます。
写真による製作プロセスの紹介は、今回タブレットで行いましたが、プロジェクターを導入できればよりスムーズに進行できそうです。
最後に、樹皮と樹皮テープの販売を行いました。
林産試験場より提供いただいた根を、今後うまく活用でくればと考えます。
《補足》
後日、参加者の皆様から講師の森山さんのもとに、謝意と感想、作品の活用例の画像をいただきました。
《ワークショップを終えて》
手探りの中、一般の消費者の皆様をお迎えしての、初めてのワークショップを無事開催することができました。
改善点もいくつかありますが、内容と時間は今回を基本として進めていこうと考えます。
今後、本プロジェクトとして取り組んでいく、北海道大学博物館での「サイエンスカフェ(仮称)」での開催や、旭川デザインセンターでの催事内での開催等も視野に入れて、定期的に開催することを目標に進めてまいります。
《最後に》
今回の開催にあたっては、白樺樹皮採取の際に村山木材株式会社の村山恵一郎専務取締役には大変お世話になりました。
また、講師を依頼した森山未花さんには構想段階からご相談させていただき、試作も含め快くお引き受けいただきました。
最期になりましたが、この場をお借りしてお礼申し上げます。

2020年6月初旬の新緑の季節に、好天に恵まれた北海道大学雨龍研究林内で白樺の幼木からハーブティー用の若葉を採集するワークショップを行いました。
白樺プロジェクトは、白樺を北国北海道の持続可能な地域資源として再評価し、文化として産業として地域の生活に根付くことを目標としています。
白樺は木一本丸ごと利用でき、用材のみならず、樹皮、葉、樹液など様々な使い道があり、北欧やロシアなどでは健康の木、看護婦の木などともいわれているように、健康で豊かな生活を目指すうえでも古くから利用されてきた樹木でもあります。
今回は、ハーブ農家でもありオーガニック製品を製造販売するLien(リアン)の代表の石田佳奈子さんにご協力を頂き、ハーブティー用と蒸留水用に若葉を採集し、原料として使って頂くことにしました。
白樺プロジェクトは、今後50年くらい継続される、エコロジカルにかつ効率的に白樺を増やす研究と、将来にわたって白樺製品が高付加価値で利用される仕組みづくりの両輪が柱の活動です。今回のワークショップでは、研究中の白樺の「人工的な天然更新」の初期の段階で間引かれる幼木を、ただ林内に放置するのではなく、有効活用して、将来的に林業経営に寄与するかどうか検証する目的で行われました。
①目的
人の手で増やすことのできる数少ない広葉樹でもある白樺ですが、研究中の白樺の人工的な天然更新の初期の段階で、密生した白樺の幼木を間引きする必要があります。単に間引きして林内に放置するのではなく、活用方法の
1つとしてハーブティー用の若葉採集の可能性を探ることが目的です。
◎幼木の葉が白樺茶用の品質に向くか
◎間引きと同時に行える作業になりうるか
◎作業は効率的にできるか
◎将来的に経済的に林業に寄与するか
◎このような作業が一般の方の参加するワークショップに なりうるか
などを検証する。
②開催日程
6月3日(水曜日)/晴れ
9:30~ 初めての来訪者のみ北大雨龍研究林事務所に先に集合。雨龍研究林の沿革および研究内容についてレクチャーを受ける。
10:00~ 参加者全員集合、あいさつ、作業の目的、内容、注意事項の確認
10:30頃 事務所出発。
10:40頃 採集場所到着、準備。白樺の天然更新の施業地を見学、レクチャーを受ける。いくつか施業方法の違う実験林を案内してもらい、生育状況の違いを実際の現場で体感する。生育における笹との関係性についても理解を深める。
11:00頃 採集地に移動し、作業開始。
12:00頃 採集作業終了、片付け、採集地出発。
12:20頃 事務所に到着、食堂にて昼食。
13:00頃 研究林事務所を出発。
15:20頃 旭川市西神楽のLienのハーブ農場の搬入。太い枝を取り除き、枝葉を適切なサイズに切る作業を行う。
17:00頃 作業終了、解散
③若葉の採集場所
北海道大学雨龍研究林内の白樺林。
5年生、樹高2~3m程度、2~3本/㎡の密生地で間引きを行う林。
④参加者・協力者(敬称略)
<協力者>Lien(リアン、オーガニックハーブティー・蒸留水・精油製造販売) 代表 石田佳奈子
<北海道大学雨龍研究林>坂井、宮崎(技術専門職員)
<白樺プロジェクト>鳥羽山(代表理事)、田中(事務局・記録係)、木と暮らしの工房スタッフ5名
⑤服装、持ち物など
<個人>森林での作業に適した服装、長靴、手袋、帽子、着替え
<共同>剪定ばさみ(研究林、個人)、手鋸、ビニール大、荷造りロープ(研究林)ブルーシート、虫よけスプレー、消毒液、救急箱(木と暮らしの工房)
手鋸は伐採に使用、荷造りロープは伐採した白樺を束ねて車のある所まで運ぶのに使用、剪定ばさみは車の積み込み時に根元を切るのとハーブ農家での作業時に使用、ブルーシートは作業や車の積み込みにあると便利だが、若葉をくるんで蒸れてしまうような使い方をしてはいけない。ビニール袋は使わず。 特に不足したものはない。
⑥作業内容、注意事項
採集地までは150mくらい徒歩で移動。
2mから3mくらいの高さの白樺が密生していて林床は主に笹でおおわれている林に分け入って、間引きを兼ねて根元から手鋸で伐採。残す木にはあらかじめテープが巻いてあり、それ以外を伐り出す。伐り出す人と、集材する人に分かれ、開けた場所に集めてロープで束ねる。担げる程度の量にまとめ、肩に載せて搬出。なかなか重労働なので、車を寄せられるところまで移動。担ぎ出して歩く距離は70mくらい。
車に乗せる前にシートを敷き、あまり細かくするとしおれてしまうのも早いだろうということで、根元の太い枝のみをカットして積み込む。ハイエースの荷台の窓の高さくらいまで積み込む。2時間以上かけて移動する間に、ややしおれてしまったが、しおれたり乾燥するのは問題ないようで、蒸れたりすると、乾燥した時に黒く変色したりして品質が下がるとのことで、車内が熱くならないように運転時は窓を開け、駐車はなるべく短くして、後部ドアを開けて風通しに配慮する。
石田さんの農場に着いて、乾燥小屋の前で、適切な大きさに伐り直す。蒸留機に入れる分は13kgで、おそらく乾燥棚に敷いた分を合わせると、全部で25kg~30kgくらいだったのかと思います。
⑦ワークショップ開催の経緯や事前の準備
フランスで修業を積んだハーブ農家でオーガニックのハーブティーなどをブレンドし、販売するLienの石田さんとの出会いから、このようなワークショップを思いつきました。
昨年10月に白樺プロジェクトの集まりに参加して頂き、白樺のハーブティーを振舞っていただき、とても美味しく驚きました。健康という観点からの白樺利用は北海道ではあまりなじみがありません。身近な白樺を文化として定着を目指すことと、白樺育成の過程で間引きされる幼木の有効利用が結びつかないかと考えて、ワークショップ開催にいたりました。
北大雨龍研究林に採集場所の提供と作業の協力のお願いをし、「施設利用申請書」を提出、開催の10日ほど前に、石田さん、研究林、プロジェクトメンバーが参加しオンラインで打ち合わせをしました。研究林には事前に残す木にしるしをつけてもらいました。
開催日は3日ほど候補を決めて置き、直前に天候を判断しながら決めました。
⑧ワークショップを終えて
今回は、間引きされる白樺の幼木をハーブティー用の若葉採集として有効活用できないかということが目的でした。
◎幼木の葉が白樺茶用の品質に向くかどうかについては、最終的に製品になったときに評価されるのですが、石田さんから見て、今回の葉は小さめという印象で、それが幼木だからなのか、採集時期によるものか、地域的なものなのか、今後検証していく必要があるかもしれません。
ただ、とても香りが良く強いということで、品質的には十分ではないかということでした。
香りについては、採集の前の天候にも左右されるようで、雨が続いたりしたときは香りが弱いことが多いようです。
また、品質に関しては、昼の一番暑い時間帯から夕方に採集するのが最適のようで、なるべく早く乾燥処理する方がよいとのことです。今回は2時間かけて搬送することになりましたが、暑い中駐車して車内が高温になったり、ビニール等でくるんで蒸れたりすると品質が低下するようで配慮する必要があります。また香料などが葉につかないように気を配ることも大事です。
今回は、車で窓を全開にして走りましたが、車内はとても良い香りに包まれていました。
時間がたつと枝の先端の葉からしおれてきますが、しおれたり乾燥したりするのはそれほど問題はなく、蒸れる方が問題のようで、ハーブを扱うのにはビニールなどより布の方が使われるようです。
◎間引きの作業の中に組み込むことができるかということでは、量的には少ないものの十分間引きを兼ねた作業となると思われます。効率的かどうかについては、幼木が密生して生えているので、必要な量を集めるのには効率的ですが、すべて手作業となるので、その手間のコストと、それを原料とした製品のブランド力の兼ね合いになるのかと考えられます。
◎将来的に経済的に林業に寄与するかどうかですが、石田さんがてがけているようなオーガニックの製品は白樺に特化しているわけではなく、さまざまなハーブのブレンドの一つということになります。おそらく大きな需要とはならないかもしれませんが、葉を束ねたヴィヒタなども製品化する動きもあり、草木染などにも既に使われていて、そういったものと合わせて葉を有効利用する可能性は今後も検討の余地があると思われます。
◎このような作業が一般の方の参加するワークショップになりうるかどうかについては、研究林の技術専門職員の方のレクチャーと、実際の作業と、収穫した若葉では味わえないものの前年収穫された若葉のハーブティーなどを試飲することなどを合わせたら、五感で森を体感できる有意義なワークショップができるのではないかと思います。
今回の参加者は木工関係者が大半でしたが、自分たちが使っている木材の出どころについて、考えたり、感じたりすることが出来たという感想でした。作業も楽しかったようですが、最後の適度なサイズに切る作業は量が多かったようで、どちらかというと単調な作業なので少し検討の余地があるかもしれません。
また、採集の時期は、展葉し始めの若葉が小さすぎる時期では早すぎ、大きく開いてから虫食いが多くなる時期では遅く、天候にも左右されるので、日時が確定するのが直前になる可能性があるので、難しい面も考えられます。
⑨最後に
白樺は木一本丸ごと利用できるという特徴があります。このような活動が、身近な森の恵みである白樺を北国の生活に取り入れることで暮らしが豊かになったり、今まであまり利用のなかった白樺を地域資源として再評価したりするきっかけになることを期待しています。
ご協力いただいたリアンの石田さん、事前の準備から当日の段取り、レクチャーを担当して頂いた研究林の坂井さん、宮崎さんには、この場をお借りして感謝申し上げます。